「加害」の歴史事実を取り戻そう
(豊国神社駅下車、進行方向を少し戻って石垣の手前の道を右へ)
残暑というにはあまりにも暑すぎた9月14日、私たちの会が主催するフィールドワークで久しぶりに大阪城に行ってきました。参加者はT病院のK医師ご夫妻はじめ9名でした。数年前にもピースおおさか元事務局長の有元幹明さんにお世話になり、城周辺の戦跡めぐりをしたのですが、当時とこの日は状況が一変していました。それはいわゆるインバウンドというものなのか、アジアを中心とした若者たちであふれかえっていました。(それでもこの間の安倍政権による不条理なバッシングにより韓国からの訪問客は減っているのでしょうが・・)もともと暑い上に彼らの熱気が加わり私たちは圧倒されっぱなしでした。
改めて反戦の誓いを
まず噴水前からロードトレインという石炭車を模した乗物で約15分ぐらい公園内を巡りました。そして終点の豊国神社で下車し反戦川柳作家の鶴彬(つる あきら)の句碑に向かいました。
鶴彬・・
1909年 石川県河北郡高松町生まれ 本名は喜多一二(きた かつじ)
1924年 15歳のときに「河北新聞」に川柳と詩を発表
1926年 17歳のときに此花区四貫島の従兄に寄宿し、町工場で働く
1928年 19歳。高松町に帰郷し「高松川柳会」を設立 プロレタリア川柳会を主唱しナップ(日本プロレタリア文芸運動)高松支部結成。
川柳会に対する弾圧を受け検挙され筆名を鶴彬に。
1930年 21歳のとき第九師団金沢歩兵第7連隊に入営 秘密に隊内で配布していた「無産青年」を発見され重営倉に入れられる
1931年 22歳 七連隊赤化事件の主犯とされ大阪衛戍監獄に収監される
1934年 27歳 高松町で川柳活動を再開
1937年 28歳 東京深川の木材通信社に就職 12月3日に治安維持法違反で検挙される 中野区野方署に留置
1938年 29歳 赤痢にかかり未釈放のまま豊多摩病院に入院 9月14日死去 29歳の短い生涯で作った川柳は1044句 評論は85編
先日会員のNさんが下見に訪れた時は、その碑がどこにあるのか捜しまわったとのことですが、それは一般の観光コースからは外れ、案内板も立っていないさびしい場所でした。
そこにはかつて「大阪衛戍(えいじゅ)監獄」という軍法会議で有罪判決を受けた軍人が収監された監獄の跡地で、鶴も上記のように1931年から1年8ヶ月治安維持法の罪で服役していました。そして1938年9月14日、病院のベッドに手錠をくくりつけられたまま絶命したとのことです。私たちが訪れたこの日は奇しくも彼の命日でした。
(鶴彬の句碑と百日紅)
(句碑の裏)
句碑建立に際しては大阪市から「顕彰碑は前例がない」とクレームがついたので、緑化協力として百日紅(さるすべり)の植樹が目的で句碑はその説明ということにしたとのことでした。観光コースから外れ、訪れる人も少なく(この日も2~3人だけ見かけました)ひっそりとした場所にある石碑には「暁をいだいて闇にゐる蕾」と刻まれています。百日紅の花の横にあるこの句を読んで参加した皆さんは何に思いを馳せたでしょうか。
「加害抜き」に怒り
そして次にピースおおさかに行きました。橋下大阪市長時代に多くの市民団体の抗議にもかかわらず、「加害抜き」展示に改装されたのでそれなりに「覚悟」していましたが、入館すると「やはり」と思いました。
確かに大阪大空襲を中心とした「被害」の展示は以前より詳しくなっていたように感じました。加えて「大阪戦災傷害者・遺族の会」の伊賀孝子さんから毎年のように当時の体験を教えていただいているので、被害の悲惨さについては理解を深めていました。しかしかつてはあった「南京大虐殺」や「平頂山事件」など「加害」の展示は一切ありません。予想してはいましたがやはり「唖然」となりました。これは単に
「バランスを欠く」という話ではありません。歴史事実から学ぶことを放棄し、時の政権にとって都合の悪い事実は抹殺する、「いつか来た道」に再び突き進む極めて危ういものです。同じ敗戦国であるドイツの歴史認識となぜこんなにもかけ離れているのでしょうか。曰く「政府の統一見解に踏まえる」とのことですが「安倍の見解に合わせてどないすんねん」と怒りがこみ上げてきました。アンケート用紙にその怒りを書きなぐって退館しました。みんなの力で元のピースおおさかを必ず取り戻しましょう。
この後は森之宮の駅そばにある居酒屋でK先生のお話を中心に歓談してこの日の行動を終えました。また次もよろしくお願いします。
(ピースおおさか北側にある傷痍軍人と妻の碑。永遠の平和を願って建てられました。)
反動首長に負けるな
皆さん、少女像設置でサンフランシスコ市との姉妹都市関係を破棄した吉村市長(当時)、辺野古で現地のじい、ばあを「土人」と罵倒した大阪府警員を「どっちもどっち」と擁護した松井知事(当時)、展示会に乱入して「慰安婦などいない」とわめき散らした河村名古屋市長、関東大震災で虐殺された朝鮮人を慰霊する9.1集会に意図的にメッセージすら送らない小池都知事、そして「モリ・カケ」問題に頬かむりし続け、トランプの顔色を見ながら「敵」を共和国(北朝鮮)から韓国にシフトし、危機を煽り続け9条改憲に突き進む安倍首相と日本はとんでもない反動首長ばかりです。
こんな連中に私たちや子供たちの未来を託すわけにはいきません。絶対に負けない闘いで本当の歴史認識を継承していきましょう。
(会員 Y)
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