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2011年8月30日 (火)

JALの不当解雇撤回裁判原告団・団長の山口宏弥さんのお話

8月28日、JALの不当解雇撤回裁判原告団・団長の山口宏弥さん(ボーイング777機長)のお話を聞く機会がありました。

2010年12月31日に165名が不当解雇され、そのうち約9割の乗員74名(現在76名)、客室乗務員72名、計148名の方が2011年1月19日に東京地裁に提訴して闘っておられます。

お話を聞いているうち、JALの不当解雇は整理解雇の4要件をないがしろにするというだけでなく、利益のみを追求する経営姿勢が空の安全をもおびやかしていること、また、儲からない路線は撤退するなど利用者に不便を強いていること、その背景に日本のでたらめな航空政策があるということが分かってきました。以下、山口さんのお話の要約です。

          

 解雇の対象者は病気40日以上と年齢です。会社は3年の計画を1年に切り縮め、ジャンボ機50機を3年で売却すると言っていたのを、いっきに売ってしまった。

それで機長、副操縦士が600人“余剰”人員になった。そこで始まったのがスケジュールはずし。いわゆる“かくり部屋”。年齢と病気で選別された(山口さんは年齢。定年まであと1年ちょっとだった)。賃金は払われるが飛行機に乗れないので技量が維持できない。整理解雇されたら、さまざまな不利益があると職場でささやかれるようになり、辞めざるをえない人も出てきた。

日航本体の削減目標1500名に対して希望退職者が1733名に達し、削減目標が達していたにもかかわらず、12月31日の時点で乗員81名、客室乗務員84名全員が年齢と病気欠勤を理由に整理解雇された。

 裁判は乗員が日本航空乗員組合、客室乗務員が日本航空キャビンクルーユニオンとしてそれぞれ提訴。

 パイロットという仕事は期間があくと再訓練期間が必要になるので(定年まで3年ないと再雇用はむずかしい)、東京地裁には「迅速な裁判」を求めている。

今までに乗員、客室それぞれ4回ずつの裁判が行われ、この9月いよいよ証人尋問が行われることになった。

乗員は9月5日、26日、客室は9月16日、9月30日の10時から17時まで。

9月30日の客室乗務員の裁判(東京地裁)には稲盛日航会長が証人としてでることになった。

しかし、稲盛会長は9月5日の乗員側の証人申請には「外国に行ってるから無理」といいながら、実はウソだということが新聞報道で分かったり、1月の提訴時点で「提訴になっても誠心誠意話し合う」と言いながら、5度にわたる要望書にも応じない人物。

2月8日には驚くべきことに日本記者クラブでの講演で「165名を残すことは経営上は可能だった」と不当解雇であることを認め開き直っている。

2月8日日本記者クラブでの稲盛会長発言は下記のサイトでご覧になれます。アッと驚く問題発言は1時間8分過ぎ。
http://www.youtube.com/watch?v=LrXO5XomGAo11828_2

  裁判は法律的には勝てるものだが、(そういう判決がでたとして)法廷外で訴えて世論のもりあがりを背景に一審判決を守らせ、現職復帰を獲得したい。世論といえばマスコミはひどい。整理解雇まではさんざん報道をしながら、整理解雇が行われたとたんにほとんど報道しなくなった。日航が全面広告を打ってから。

 整理解雇の4要件でいえば

人員削減の必要性…稲盛さん自身が経営上問題ないと言っている。本来ならこれで勝負ありのはずだ(右写真2010年度、過去最高の営業利益)

解雇回避努力を尽くしたか…解雇の回避努力をしようとせず、組合からのワークシェアリングや一時帰休などの提案も無視し、出向や再就職支援も全くしなかった。

対象者の人選基準は合理的か…解雇対象の人選基準が、年齢と病歴、組合経験など、明らかに労基法、国際人権規約、ILO条約などに違反している。経験豊かなベテランを辞めさせるのは営利優先、安全軽視の姿勢だし、病欠歴、休職者を対象にすることは、体調が悪くても休めないことになる。結果、航空の安全を担保できない。(パイロットが風邪薬を飲めるのは搭乗の24時間前まで)

稲盛会長になってから副操縦士が機長になるなどの上級へ行くための訓練をしなくなった。稲盛にとっては訓練はプラスにならない。そのようにして団結させない。機長が辞めたら他から経験者を連れてくるやりかたなので若い人に展望がない。それで辞める人もいる。

手続きの妥当性…組合提案を検討せず、結論を変えない説得団交に終始した(誠実交渉義務違反)。解雇予告者に対し、仕事はずし、退職強要。組合の争議権投票に支配介入。

昨年11月、日航の更生手続きを行うために選ばれた管財人、企業再生支援機構が「整理解雇を争点とする争議権を確立した場合、それを撤回するまで企業再生支援機構は3500億円の出資は出来ない」として、不当労働行為を公然と行った。

更生手続中であっても労働者の権利が制限されることはない。 

8月3日、この件について東京都労働委員会は支配介入として認定し、日航に乗員、客室両組合に対する謝罪文の交付と同文の掲示を命じた。

しかし、日航は行政処分であるのに応じようせず、提訴の方針を打ち出してきた。

日航はこれまでも数々の不当労働行為、客室乗務員の昇格差別、さらには9862名におよぶ客室乗務員の個人情報収集の実態が明らかになった「JAL客室乗務員監視ファイル事件」など異常な労務姿勢が断罪されてきている。

 こうした事の背景に日航の経営破綻がある。

原因として

日航の放漫・乱脈経営

・長期ドル先物予約で2200億円の損失
・ホテル・リゾート開発の失敗で970億円の損失
・約250社の関連会社に役員が天下り、本社経営を圧迫

航空行政の誤り

・航空機燃料税、着陸料などの公租公課(1500~1700億円)
・空港整備勘定を財源に不採算空港を乱造。大手に就航させる・参入規制、運賃規制の緩和で内部補助が困難に(LCC=格安航空との競争)。

日米貿易摩擦解消の圧力

・10年間で430兆円(後に630兆円)の公共投資(福島、佐賀、大館、中部など新空港建設、滑走路延長工事=2500mに。)
・ジャンボなど大型機材の大量購入(113機のジャンボJETを購入)。

 公共交通機関としての在り方が問われている。公共交通機関として、国民の交通権を守る立場から、政治の責任としてJALの再生がなされるべきだ。

安全アドバイザーグループが「財務状態が悪化したときこそ『安全の層』を厚くすべき」と提言、しかし稲盛会長は、「(これまでは)『安全が第一で利益は二の次』だった」(1月19日)「利益を出して余裕がなければ、安全を担保出来るわけがない」(5月16日付、日経ビジネス誌インタビューで)とコスト、利益優先。。

安全のためには、経験豊富なベテラン・熟練技術者が必要。「ハドソン川の奇跡」も経験を積んだ熟練の操縦士と客室乗務員によって短時間に旅客を救出できた。

儲かる路線だけ残すということは、旅客の利便性が低下する。また、機材の小型化で座席利用率(収益性)が向上しているため、乗客にとっては乗りたくても乗れない事態になっている。

          

最後に、11月の結審、来春判決の見通しを語られた上で、負けない、勝つまでやりぬくと支援を訴えられて1時間あまりにわたる熱弁を終えられました。

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